Orangeという携帯電話の会社がある。イギリスの会社のようだが、ヨーロッパ諸国でサービスを展開している。Vodafoneなど大手がカバーしていない辺鄙な地域でもサービスを展開していたりして、結構便利な通信会社だ。日本で言うとDoCoMoとかauとかSoftbankみたいなものだが、その会社が昨今の電子書籍ブームにのって電子書籍ショップをオープンしたそうだ。主としてOrangeのケータイ向けのサービスで、ユーザが購入した電子書籍の代金は、電話代と一緒に引き落とされるという仕組みだ。日本の携帯電話会社でも似たような電子書籍ショップをやっている。

Apple rejects Orange e-book app | TeleRead
この記事によると、そのOrangeの電子書籍アプリをAppleが拒否したそうだ。まあ、他にも拒否された電子書籍アプリはいくつもあるので、今更驚くことじゃないが、一方で既存のKindleやNookのアプリのバージョンアップが認可されているのは、なんとなくダブルスタンダードの匂いがしないでもない。まあ、こっちは6月いっぱい猶予が与えられているようだが、どうなることか。
それはともかく、ケータイ的電子書籍ビジネスモデル - つまり電子書籍代を携帯の利用料金と一緒に徴収するというシステムは、Appleには許容してもらえないということはどうも確実のようだ。そうなると、日本の携帯各社の電子書籍ショップもiOS向けには認可されないことになるんだろう。
AppleのストアでiOS向けに電子書籍を売るには、バクッと2つの条件をクリアしなければならない。ひとつは電子書籍を別のサイトで売っても構わないが、アプリ内からも同じタイトルを購入できるようにしなければならず、その場合、アプリ内での販売価格が一番安くなければならないというもので、もう1つはアプリ内で販売した売上の30%をAppleに上納しなければならないということだ。いずれにしてもケータイ屋が電子書籍を売るには、不向きな条件だ。ガメツイな、Apple。
でも、Appleどこまで頑張る気だろう。著作権が切れた無料の作品がいっぱいあるし、有料でDRMフリーの電子書籍ファイルを配信しているところもある。以前紹介した「
Free eBooks.net」などのように、基本的に無料でDRMフリーの電子書籍ファイルを配っておいて、気に入ったら著者に寄付するみたいな形態のサイトもある。DRMがついていないEPUBファイルなら、iTune経由で標準のリーダで読める。最近のAppleの対応を見ていると、こんなもんにまで噛みつきそうな勢いだ。
その割に、ブラウザ上でのユーザの消費動向には、Appleは無頓着だ。ユーザが例えばiPadのSafariで、どこのショッピングサイトに行って何を買っても構わないらしい。同じタイトルの本を、Amazonに行ってペーパーバックで買う分には、Appleは30%の上前をよこせとは言わない。なんだかなぁ。少なくとも私は一人の本好きとして、「本を買う」ということは、その本の中身つまり文字と多少の挿絵等からなるコンテンツを買っているわけであって、その形態が「紙」か「電子ファイル」かは究極のところどうだっていい。つまりペーパーバックと電子書籍に大きな違いがないわけで、iBook Storeの貧弱な品揃えを押し付けておいて、豊富なラインアップを誇るKindleやNookのアプリを排除すれば、本好きの消費者はiBook Storeで本をもっと買う代わりに、Kindle買うか、Amazonのサイトでペーパーバック買うぞ。
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posted by Fion at 17:25
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