2011年05月02日

Apple、電子雑誌のアプリ内課金で態度軟化か

さすがのAppleも強気を通しきれなかったのか、Time社の一部人気雑誌について紙版の定期購読者に対するiPad向け電子書籍版の無料提供サービスを認めることになったのだそうだ。いずれこういう事になるんじゃないかと思ってはいたが、Appleはもうちょっと粘るかと思っていたので、ちょっと驚いた。なにしろ、電子雑誌のアプリ内課金を巡るAppleと出版社の対立が勃発したのは、確か今年の正月早々だった。



とはいえ、今回の措置はとりあえずTime社のいくつかの人気雑誌のみを対象にしているようで、Appleの全般的な軟化の兆しかどうかはよくわからない。この記事でも伝えているように、詳細は不明ながら紙版の雑誌の上がりの一部をAppleが取るような形になっている可能性は高い。とするとTime社のような大手で且つ部数が見込める人気雑誌じゃなければ難しいスキームなのかもしれない。

Appleの態度硬化以降、脱iOS化の動きを見せる出版社が相次いだが、一方でAppleの意向に迎合する動きもたくさんあったわけで、そんなことにビビったわけじゃないだろう。やっぱりTime社の人気雑誌をコンテンツに取り込めないデメリットを考慮しての対応と考えるほうが自然な気がする。そんなことやってると、iPadでは大手出版社の人気コンテンツしか読めなくなる。なんだか、売れ筋しか店頭に並べない最近の本屋みたいだ。

まあ、多機能端末のiPadでは、本や雑誌を読む以外にもいろいろやることはあるし、売れ筋だけ揃っていれば十分なのかもしれないが、本や雑誌を読むのがメインのユーザにとってはちょいと窮屈なことになりそうだ。


関連記事:
Apple、iPad用無料電子雑誌を禁止 | Fionの与太話(2011年1月16日)


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2011年03月23日

iPad用電子雑誌「Project」無料化のインパクト

Appleのちょっと強硬な電子書籍の課金ルール適用を受けて、これまで有料で販売されていたiPad用電子雑誌「Project」が無料化に踏み切ったそうだ。といっても、とりあえず次号を実験的に無料にするということで、それ以降はよくわからない。上がりは広告収入に絞って、読者への課金を廃した代わりに、Appleに3割上納をせずに済む。紙の雑誌だってフリーペーパーが流行っているんだから、デジタルコンテンツで同じことをやって悪い道理はない。まあ、採算があうだけ広告を集められる雑誌に限られるだろうが、これもひとつの方向性だ。



雑誌や新聞なら広告をいっぱい載せてあってもあんまり抵抗はないし、そのおかげで無料になっているのも理解しやすい。でも、いわゆる本というか書籍については、ちょっと抵抗あるだろう。小説を読んでいてあちこちに広告があったらちょっと目障りかもしれない。まあ、慣れの問題かもしれないが、それでも書籍のコンテンツに広告はあまり馴染まないだろう。

いわゆる電子書籍コンテンツは、KindleやNookのアプリの動向も気になるが、Appleが今の姿勢を崩さない限り、徐々にiOSから撤退の方向に動くことは十分ありうる。一方雑誌・新聞などは、この「Project」のように広告で収益を上げて本体には課金しないスタイルが浸透する可能性も無視できない。するとAppleが自前で取り揃えたiBook Storeとか電子雑誌・新聞コンテンツ以外は無料か撤退という動きになりかねない。そんなことをちょっと考えてみた。野次馬的には、iOSをめぐる出版社の動向はしばらく面白そうだ。

個人的には、Kindleも持っている以上、あんまりiPadで本を読む気にはなれない。でかくて重くて掴みどころがないから落としそうだし、保護のためのケースをつければ嵩張るし、目は疲れるし、iPadは本を読むのがメインの私にはあまり向かない。紙の本やKindleで読んでも同じ内容の書籍だったら、iPadを使う理由はない。わざわざiPadで電子出版物を楽しむのであれば、iPadならではの表現力に飛んだコンテンツを期待したい。でも、そんなコンテンツは多分後発のAndroidタブレットでも多分楽しめるだろうし、Appleこれからどうする?



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2011年03月22日

携帯系電子書籍アプリをAppleが拒否したこと

Orangeという携帯電話の会社がある。イギリスの会社のようだが、ヨーロッパ諸国でサービスを展開している。Vodafoneなど大手がカバーしていない辺鄙な地域でもサービスを展開していたりして、結構便利な通信会社だ。日本で言うとDoCoMoとかauとかSoftbankみたいなものだが、その会社が昨今の電子書籍ブームにのって電子書籍ショップをオープンしたそうだ。主としてOrangeのケータイ向けのサービスで、ユーザが購入した電子書籍の代金は、電話代と一緒に引き落とされるという仕組みだ。日本の携帯電話会社でも似たような電子書籍ショップをやっている。

http://www.teleread.com/ebooks/apple-rejects-orange-e-book-app-due-to-in-app-purchase-policy-change-but-amazon-and-kobo-updates-squeak-by/

Apple rejects Orange e-book app | TeleRead



この記事によると、そのOrangeの電子書籍アプリをAppleが拒否したそうだ。まあ、他にも拒否された電子書籍アプリはいくつもあるので、今更驚くことじゃないが、一方で既存のKindleやNookのアプリのバージョンアップが認可されているのは、なんとなくダブルスタンダードの匂いがしないでもない。まあ、こっちは6月いっぱい猶予が与えられているようだが、どうなることか。

それはともかく、ケータイ的電子書籍ビジネスモデル - つまり電子書籍代を携帯の利用料金と一緒に徴収するというシステムは、Appleには許容してもらえないということはどうも確実のようだ。そうなると、日本の携帯各社の電子書籍ショップもiOS向けには認可されないことになるんだろう。

AppleのストアでiOS向けに電子書籍を売るには、バクッと2つの条件をクリアしなければならない。ひとつは電子書籍を別のサイトで売っても構わないが、アプリ内からも同じタイトルを購入できるようにしなければならず、その場合、アプリ内での販売価格が一番安くなければならないというもので、もう1つはアプリ内で販売した売上の30%をAppleに上納しなければならないということだ。いずれにしてもケータイ屋が電子書籍を売るには、不向きな条件だ。ガメツイな、Apple。

でも、Appleどこまで頑張る気だろう。著作権が切れた無料の作品がいっぱいあるし、有料でDRMフリーの電子書籍ファイルを配信しているところもある。以前紹介した「Free eBooks.net」などのように、基本的に無料でDRMフリーの電子書籍ファイルを配っておいて、気に入ったら著者に寄付するみたいな形態のサイトもある。DRMがついていないEPUBファイルなら、iTune経由で標準のリーダで読める。最近のAppleの対応を見ていると、こんなもんにまで噛みつきそうな勢いだ。

その割に、ブラウザ上でのユーザの消費動向には、Appleは無頓着だ。ユーザが例えばiPadのSafariで、どこのショッピングサイトに行って何を買っても構わないらしい。同じタイトルの本を、Amazonに行ってペーパーバックで買う分には、Appleは30%の上前をよこせとは言わない。なんだかなぁ。少なくとも私は一人の本好きとして、「本を買う」ということは、その本の中身つまり文字と多少の挿絵等からなるコンテンツを買っているわけであって、その形態が「紙」か「電子ファイル」かは究極のところどうだっていい。つまりペーパーバックと電子書籍に大きな違いがないわけで、iBook Storeの貧弱な品揃えを押し付けておいて、豊富なラインアップを誇るKindleやNookのアプリを排除すれば、本好きの消費者はiBook Storeで本をもっと買う代わりに、Kindle買うか、Amazonのサイトでペーパーバック買うぞ。


関連記事:
無料電子書籍配信のビジネスモデル | Fionの与太話(2010年11月30日) - Free eBooks.netのご紹介

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