先日テレビで放送した「ダ・ヴィンチ・コード」の録画をようやく時間をとって見てみた。映画よりも前に本で読んでしまっていたのでオチもわかっていたし、あまり優先順位は高くなかった。
「ダ・ヴィンチ・コード」は、話がよくわからないという人が多いが、実際そういう面はあると思う。キリスト教文化の歴史や背景を知らないと、そもそも何の話をしているのかよくわからないだろうし、様々な暗示・暗号を解読する過程は多少の語学的素養が必要だ。キリスト教文化が根付いていない日本では、単なるサスペンスドラマとして鑑賞される。そうすると、おそらく著者ダン・ブラウンがこの物語で一番のインパクトを狙ったであろうソフィーの出自の秘密やクリプテクスの謎などが、さらっと流されてしまって焦点がぼやけたものになってしまうのは致し方ない。「イエスがマグダラのマリアと実は結婚していて子供をもうけていた」というのは、もしそれが事実だったとしたらキリスト教文化圏では世の中がひっくり返るような大スキャンダルになること間違いない。だが、背景を知らない私達にとって「だから〜?」とか「それ誰?」という程度のことでしかない。
小説版では、読者がある程度のキリスト教の基礎知識を持っていることを前提としながらも、かなりのページを説明的な記述に費やしていた。多少アクションはあるものの、謎解きの過程はほぼラングドンの思索とソフィーとの会話で綴られているので、映像的にそれほど面白いものができるとは思えなかった。そんなわけで、映画が公開された当初、あまり見に行こうという気になれなかったのだろう。
それはさておき、今回録画した目的は実のところ、冒頭のカーチェイスを見たかったからだ。成り行き上警察に追われる事になったラングドンとソフィーが、なんとスマートでパリの街を逃げ回るというのだ。行ったことがある人はわかるだろうが、パリの街は、ちょっと裏道に入ると狭い路地が込み入っていて、とてもスマート向きな地理条件だ。小説でもスマートの小回りを生かして最後には逃げ切る様子が描写されているが、こういうのはやっぱり映像で見た方がいい。
予想とはちょっと違って結構な大通りをカーチェイスしていたが、スマート相当がんばっている。実はもう10年近くスマートに乗っている。うちのは右ハンドルだが映画に出てくるのと同じ Smart for two coupe だ。この車は結構癖があって、慣れないとそんなにきびきび動く代物じゃない。パワステがついていないので、なりは小さいが取り回しは結構力が要る。「なんちゃってオートマ」と私は呼んでいるが、基本的にマニュアルトランスミッションだ。シフトチェンジのみを自動でやってくれるという仕組みで、シフトレバーについているスイッチでマニュアルモードにも切り替えられる。アクセルワークはマニュアルそのままだ。エンジンをかけるときや停止状態からギアを入れるときはブレーキを踏んでいないと反応しない。マニュアルモードで走っていても減速時には勝手にギアが下がる。慣れてしまえばなんてことはないが、初めて乗ると面食らう人が多い。ガソリンスタンドで洗車を頼んでも、店員さんが車を動かせなくて困っていたりする。(*)
スマートを買った当初は知名度が低かったせいか、だいぶ珍しがられたものだ。いくらコンパクトカーが流行っていたとはいえ、ケタはずれに小さいので「役に立たない」と揶揄されたり、近所の子供達に「ちび」とうしろ指をさされたり、まぁさんざんだったのだが、そんなスマートが百戦錬磨の警察車両相手に逃げ切る姿にはちょっと感動すら覚えた。
この映画や「ピンクパンサー」のおかげでスマートも日本でも知名度があがってくれて、最近はちょくちょく見かけるようになった。ちょっとうれしい。
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* 現行モデルのスマートはパワステもついたし、排気量も1リットルになったので、もうちょっと運転しやすくなっているだろうと思う。
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