2012年12月28日

天才柳沢教授の生活(1)を読んだ

天才柳沢教授の生活(1)山下和美著 ★★★★☆

20年ほど前のことだと思うが、漫画好きの友人に「この主人公、お前の親父さんによく似てるぞ」と薦められ、1話か2話読んでみたことがある。当時の漫画は娯楽色が強いものというイメージが一般的だったので、中年親父が主人公というのが意外だった。しかも、亀有の両さんのようなハチャメチャな親父ではなく、うちの父と似ているという。



当時の父は民間企業に勤める真面目だけが取り柄のサラリーマンで、多少まじめの度が過ぎて変人扱いされることもあったが、至って平凡な人物だった。そんなもん題材にして娯楽作品になるのだろうかと、訝しながら手に取ったことを覚えている。

読んでみると、この作者もしかしてうちの父を見ていてこの作品を書いたのじゃないかと思うくらい柳沢教授の一挙手一投足は父そのものだった。70歳を目前にして突然運転免許の取得を思い立った父は、道交法を丸暗記して試験に臨み、免許取得後は若葉マークと枯葉マークを同時に装着して周囲を呆れさせたものだ。法廷速度を遵守し周囲の交通を乱していたらパトカーにもっとスピードを出して流れに乗るよう注意されたこともある。ただ、父は柳沢教授と違ってダンスの素養はない。

そんなわけで、私にとっては日常的にごく普通に接している光景と類似したものが淡々とつづられているわけで、父に対するものと同じような親近感は覚えたものの、やっぱりこんなもんが一般的に面白がられるものかよくわからない。とはいえ、この作品かなりの人気だったようで単行本でも30巻以上出版されている。世の中何がうけるかわからない。

その人気のおかげかKindle版で復刊された。今は525円だが最近まで99円だったので、懐かしさもあって買ってしまった。日本のKindle本もアメリカみたいにセールをやるようだ。500円出してまで買うほどではないので、2巻目以降は次のセールを待つことにしよう。
タグ:Kindle 漫画
posted by Fion at 17:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月22日

「2014年、中国は崩壊する」を読んだ

【書評】「2014年、中国は崩壊する」宇田川敬介著 ★★★★☆

実はKindle Paperwhite日本語版が届いて最初に読んだ和書がこれだ。最近はあまり関わっていないが、かつて私自身中国で商売をしていたことがあって、中国にはちょっと関心がある。この本で紹介されている「黒子」、つまり「ひとりっ子政策」下の中国では許されない第2子以降の戸籍を持たない人たちも、実際に知り合いに何人もいる。



大雑把に要約すると、つかみは尖閣で、ばくっと中国社会の成り立ちや地政学的なミッションを解説し、後半で中国が崩壊するシミュレーションを展開する、といった構成だ。「国の拡大主義は限界が近く、すでに自壊の徴候が現れている。習近平新体制への移行後、2014年に中国バブルの破裂から一党独裁体制は崩壊する。衝撃のシミュレーションを公開!」などという大仰なキャッチフレーズがついていたが、シミュレーション自体はそれほど衝撃的な内容でもなかった。

というのも、この手の中国崩壊シミュレーションものはこれまでも数多く出版されており、それらと比較して特に目新しいものは見当たらなかったからだ。中央の言うことを聞かなくなった地方政府が反乱・独立パターンと下層民の蜂起を軍が押さえきれずに政府崩壊パターンの2パターンが多いが、この本はどちらかというと後者に近いようだ。さんざん語られてきた中国崩壊の類型を出るものではなかった。

とはいえ、中国の文化や歴史、社会・経済の成り立ちの解説はわかりやすく、中国を理解する上で役に立つ。2014年に中国が崩壊するかどうかは別として、中国の政府や役人、一般人の行動原則がよくわかる。これから中国で商売しようとする人には一読を勧めたい。
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2012年02月23日

The Rook: A Novelを読んだ

【書評】Daniel O'Malley著 The Rook: A Novel ★★★★★

ジャンルとしてはスーパーナチュラル系サスペンスといったところだろうか。

『あなたへ、
今あなたが着ている身体は、以前私のものでした。』

ちょっと好奇心を刺激されるこの書き出しに釣られて、一挙に読んでしまった。主人公はミファニー・トーマスという若いイギリス人女性だ。といっても最初は本人は自分の名前すら知らない。これは記憶を失った主人公に宛てた、記憶を失う以前の本人からの手紙だ。つまり、読者は主人公と同じ白紙の状態で手紙を読み進めていくことになる。



ミファニーはイギリスの秘密機関のエージェントだ。何者かに命を狙われていて、何らかの襲撃を受けた結果、記憶を失うことになったらしい。事前にそれを予期していたかつてのミファニーは、記憶を失った自分自身に宛てて手紙を残したのだ。だが、かつてのミファニーにも、誰がどういう理由で彼女を狙っているのかまではわからない。何もわからず、誰も信じることができない状況の中で、記憶を失った彼女はミファニー・トーマスを装い謎に挑んでいく。

と、これだけでもなかなか面白そうだが、それだけじゃない。ミファニーが所属する組織は、超常現象を専門に扱うイギリスの秘密国家機関だ。ポルターガイストやエクトプラズム、狼男やヴァンパイアなど、警察や普通の軍隊じゃ対処できないようなバケモノの類を退治する。ミファニー自身も含めて、エージェントの多くは特殊能力者だ。ヒーローズみたいに妙な能力を持った人たちがやたら出てくる。

そんなわけで、普通のサスペンス小説のつもりで読み進めていくと、「えっ、私(ミファニー)って超能力者なんだ・・・」なんて具合に、主人公と一緒にびっくりすることになる。なかなか面白い手法だ。話の展開はテンポが良く、一つの謎が解明されても、次々と新たな謎が浮かび上がり、飽きることなく最後まで一挙に読める。とはいえ、最後に一連の事件の黒幕が長々と事のいきさつを告白し始めた時には、岸壁で犯人の告白を延々と聞いている2時間サスペンスを見ているような気になってきた。この辺りの描写にはもうちょっと工夫が欲しかった気もするが、全体的にはなかなか楽しめる作品だった。続編に期待したい。



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posted by Fion at 15:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書感想文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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