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別にどうでもいいことなんだが、昨年別の調査会社が実施した似たような調査では、全く逆の結果が出ていた。電子書籍リーダーが劇的に値下がりしたことを考慮しても、たかが半年くらいの間にこれだけ違う分析が出るものなのかと不思議に思って、もとの詳細データをざっとチェックしてみたら、いろいろツッコミどころが見つかった。
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【Nook Colorの評価】
まず調査対象の端末だが、今年の調査がばくっとタブレット端末と電子書籍リーダーの2種類で実施されたのに対して、昨年の調査はiPad、iPhone、Kindle、スマートフォン等細かく分類している。つまり今回の調査では、iPadとそれ以外のタブレット端末が区別されておらず、また、Kindleとそれ以外の電子書籍リーダーが区別されていない。
昨年の調査時点でまだ市場に出ていなかったNook Colorは、今年の調査では多分電子書籍リーダーに分類されるのだろうが、この端末はアメリカで爆発的に人気が出た。AmazonもBarnes & Nobleも、KindleやNookの販売実数を明かしていないが、Nook Colorの販売台数はKindle3を凌駕するとも言われている。実数は不明ながらとにかくバカ売れしたらしい。カラー液晶タッチパネルを搭載したAndroidベースのNook Colorは、電子書籍を読むための端末というよりは、廉価版iPad、つまり代用品として受け入れられたのだと、あちこちで分析されている。iPadは欲しいけど、ちと高くて手が出ないという層に受けたんだろう。
iPadの代用品としてNook Colorを購入した人たちは、かなり大きな集団だが、この人達を純粋に電子書籍リーダーオーナーと分類していいかどうかは考慮すべきだろう。
【学歴層・所得層のセグメンテーション】
今回の調査では、所得層の分類を年収で3万ドル未満、3〜5万ドル、5〜7万5千ドル、7万5千ドル以上の4つに分類しているが、Nielsenの調査では1万ドル単位で細かく分類しており、年収数千万円のかなりの高所得層まで分析している。7万5千ドルといえば、今のレートだと600万円ちょっとだ。年収600万以上を一律に金持ちと分類するのは、格差の大きいアメリカでは無理がある。
学歴層については今年の調査では大卒までしか分類していないのに対して、昨年の調査では、大卒と大学院卒(修士と博士)を別グループに分類し、大卒と大学院卒ではデジタル端末に関する消費性向に差異があることを報告していた。統計の取り方によっていろんな数字があるが、アメリカの大学進学率はばくっと5割くらいだそうだ。つまり半分の人が該当する大学卒以上を一律に高学歴と分類するのにも、ちと無理がある。
《考察》
昨年のNielsenの調査はともかくとして、今回のPewの調査はその詳細を見るとセグメンテーションが雑な印象を受ける。雑なセグメント分けで分析すると、実態を反映しない結果が出たりするものだ。でも、この手の調査レポートは分析結果が一人歩きする傾向がある。要注意だ。
面白いのは、今回のPewの調査は英語とスペイン語で行なわれていて、スペイン語を話すヒスパニック系がやたら電子書籍リーダーを買っていると報告していることだ。AmazonでもBarnes & Nobleでも、売られている電子書籍のほとんどが英語コンテンツなのに、なぜヒスパニック系が電子書籍リーダーを買うのかについては、何も触れられていない。
乱暴な推測をすれば、低所得層の多いヒスパニック系のiPadが欲しくても手が出ない人たちが、Nook Colorを代用品として大量に購入したとも考えられる。
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Kindle=高学歴で裕福、iPad=若い男性 | Fionの与太話(2010年9月29日)
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