2010年05月23日

Rising Son (Star Trek: Deep Space Nine) を読んだ

【書評】[スター・トレック] ディープ・スペース・ナイン ライジング・サン ★★★★☆

Deep Space Nine TVシリーズイントロ


スター・トレック:ディープ・スペース・ナインのTVシリーズ終了後の世界を描いた小説のひとつである「Rising Son」を読んだ。ディープ・スペース・ナイン(DS9)はスター・トレックの中でも私が一番好きなシリーズだが、本国では他シリーズに比べて何故かあまり人気がないようだ。他シリーズが基本的に宇宙を旅する宇宙船の冒険譚であるのに対して、DS9は1ヶ所にとどまっている宇宙ステーションが舞台になっているため他と趣を異にしているためだろう。

DS9の小説版は実はたくさん出版されている。テレビ番組本編を小説化したものの他に、後日譚として「Avatar Book」2冊、「Mission Gamma」シリーズ4冊、そしてこの「Rising Son」と「Unity」などがある。「Rising Son」はDS9の主人公であり宇宙ステーション「ディープ・スペース・ナイン」の司令官だったベンジャミン・シスコの一人息子ジェイク・シスコの物語である。

TVシリーズのDS9は、凄絶な宇宙戦争の末に謎の宇宙種族の不可思議な介入により最終的に終戦が締結されるという物語だが、ジェイクの父ベンジャミンはその過程で行方不明になる。「Rising Son」は父を失った失意のジェイクが単身ガンマ宇宙域に向かい、宇宙嵐にあって遭難するところから始まる。ジェイクはたまたま通りがかった貿易船に救助され、船のクルーに加わり帰還の手段を探す過程で、運命的な再会を果たす。

古典的なスペースオペラを思わせるような、荒唐無稽な出来事が次々に起こる実に楽しいストーリーだ。当然ハッピーエンドである。若いジェイクが−確か18歳くらいの設定だ−初めて親の庇護を離れ一人で人生を歩き出し、さまざまな経験をしながら大人になっていく物語でもある。スター・トレックのTVシリーズは多少の例外はあるが基本的に一話完結のスタイルだが、一方で全体的な流れも貫かれており1回の放送は壮大な物語の中の個別のエピソードという扱いだ。従って、どの回を見ても独立した番組として楽しめるようになっているが、それまでのいきさつなどを知っていた方がより楽しめる。小説版も同様で、DS9の物語や背景を知っていた方がより楽しめるだろうが、独立した一つのSF小説としても十分楽しめる。むしろ、これをきっかけに他のストーリーにも興味が出てくる人もいるだろう。

残念ながら日本語訳は出版されていないようだし恐らく出版されることもないと思うが、ebookやペーパーバックで入手可能だ。ワケの分からないSF用語は当然たくさん出てくるが、それ以外は平易な英語なので簡単に読めるだろう。

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